皆さん突然ですが、学生時代を少し振り返ってみてください。先生や教授たちは皆、自分なりの「芸術とは何か」という定義を持っていませんでしたか?いくつかの本には何らかの定義が書かれていることもありますが、究極をいうと、誰も「芸術とは何か」ということを明確に定義することなどできません。というのも、誰しもが認める定義など存在しないからです。

私たち人間の生活は「芸術」を中心にまわっていることから、人々がシンプルに芸術そのものを楽しんでいることがわかる一方、私たち人間は「知識」が大好きで、何かを知らないでいることに耐えらない生き物です。このふたつの姿勢は明らかに矛盾していますが、どちらも真実なのです。

芸術はすべての事柄を表現するものですから、ギャンブルに関する芸術作品がどれだけ多く存在していても、まったく不思議ではありません。「文章」でさえ芸術であり、歴史を通して、職業としてあるいは趣味としてを問わず、私たち人間が何かしらを文字に起こしてきたことは広く知られています。そのため、ギャンブラーを主人公とした書籍、カジノに関連した映画、ギャンブルの興奮、あるいは時としてギャンブルによる破滅を描いた絵画は、数多く存在するのです。

ここでは、ギャンブルに浸る人生の秘密を完ぺきに表現した、カジノに関連する最高の絵画5点をご紹介します。それぞれの絵画について詳しく見ていく前に、ここでひとつ明確にお断りしておきますが、この記事では、芸術の中でも絵画のみを取り扱うことにしますので、ご了承ください。

1.《ポーカーをする犬》

これはおそらく、カジノ・ギャンブル世界で最も有名な絵画でしょう。19世紀後半にこの傑作《ポーカーをする犬》を描いた名画家は、カシアス・マーセラス・クーリッジです。議論の余地はありますが、絵画の中の動物は、人間の”原始的“な部分を表象していると考えられています。

2.《カードゲームをめぐる口論》

バロック様式の素晴らしい絵画で、人間がカジノでギャンブルをする時、とりわけアルコールの影響下で経験する、すべての感情を完ぺきに捉えています。一部の芸術は、時代が下るごとにより簡単に制作できるようになりますが、それは絵画には当てはまりません。《カードゲームをめぐる口論》は17世紀の絵画ですが、のちの時代の《ポーカーをする犬》よりも、ほぼ間違いなく優れています。

3.《ルーレット台にて》

個人的には、エドヴァルド・ムンクのこの作品は、夜のカジノの様子を独自のスタイルで描いた素晴らしい絵画だと思います。素人や知識のない方の目には、ぼんやりとして魅力的ではないように感じられるかもしれませんが、自分がその場にいる様子を想像してみてください。大勢の人、派手な照明、騒音、アルコールでぼやけた視界…まさに完ぺきな描写です。

4.《トランプ詐欺師》 

作者カラヴァッジョは、ギャンブル中のリアルな情景を描くことで、その驚異的な技術を見事披露しています。カラヴァッジョが遠近法とダイナミックな構図をどのように用いているのかを見てみましょう。絵画に目をやると、最初に目に飛び込んでくるのは、中央に置かれた無邪気そうな少年の手です。その後、手札を盗み見て、それをもう一人の男に教える人物へと視線が誘導されます。最後に、対戦相手の詐欺師が何をしているのかに気がつきます。この効果を狙って、詐欺師のギャンブラーが、いかにも無邪気そうに描かれているのです。

5.《カード遊びをする人々》

ギャンブルを題材とした印象派の絵画です。19世紀後半、セザンヌはトランプに興じる二人の中年の男を描くことを思いつきました。一瞥すると、陰鬱な雰囲気が漂い、とりわけボトルに目が行きますが、この二人の紳士はゲームの時間を楽しんでいるように見えます。右側の男が次の一手を考えている間、左側の男はタバコを楽しんでいます。

以上いかがでしたか?カジノに関連する絵画でさえ、これだけ複雑であり、語ることがたくさんあるのですから、絵画より情報量が多い、カジノ映画について語るともなれば、どれだけ掘り下げられるかは想像できるでしょう。いずれにせよ、芸術作品への批評は楽しいものであり、鑑賞を楽しむことにこそ意義があります。そのことを忘れてしまうと、細部に深入りしすぎてしまい、総体的な批評体験から遠ざかってしまいますから、気をつけてくださいね